【雨の日のドールハウス】
雨の音がとんとん屋根をたたく午後、ぼくたちは、窓辺にある古びたドールハウスで遊ぶことにした。
ゾフィは屋根にするりと登り座りこむ。
「ここは静かでいいの」
ぼくも登れるかな、と跳びはねた。
ごとん! と音がして、ハウスががたがた揺れる。
「こらこら! なにしてるんだい!」
ちいさな声が飛んできた。 ひょっこりあらわれたのは、エプロンをつけたねずみの奥さんと子ねずみの男の子。
「ここは私たちの家ですよ」
「えっ……住んでたの?」
「もちろん。秋からずっとだよ」
男の子は「入居済み」と書かれた小さな札を差し出した。
「ノアったら、ほんとうにごめんなさい」
とエレナがあわてて謝ると、 ゾフィは屋根の上から顔をのぞかせ、
「屋根の上はいてもいい?」
とのんきな声で言った。
「あんまりどすんとしないように!」
ねずみの奥さんはぴしゃりと言った。
Illustration & Text (C)tono
編集部より
ドールハウスにはすでに小さな住人がいたようですね。
次回は5月下旬公開予定です。公開のお知らせはパイコミックアートのXにてお知らせします。ぜひフォローしてお待ちいただければ幸いです。