【ハロウィンの夜】

木々の葉が色づき、すっかり秋らしい景色になった。
クルクとシルヴァンは、かぼちゃ畑でごそごそ何かを探している。
家の中も、いつもと少し違う様子。
シーツや白いドレス、ヴェールやリボンが広げられていた。
なにが始まるんだろう?と思っていると、ママが笑って言った。
「今日はハロウィンよ。みんなでおばけになって夜を歩くの」
「お菓子をもらえる日でもあるの!」とエレナ。
夕方。薄暗くなった森の中を、かぼちゃのランタンの明かりがゆらゆら進んでいく。
ママは白い花嫁の幽霊になり、 エレナとゾフィは小さな花嫁になって静かについていく。
クルクはかぼちゃ畑で見つけた小さな牛の頭がい骨をかぶり、
重たげによろよろと歩く。
ぼくもシルヴァンと並んで、白いシーツをかぶせてもらった。
走ると布がひらひらしてすっかりおばけの気分。
ノイとミラも合流して行進に加わった。

そのとき、木の影にすうっと白い影が動いた。
「……いま、本物のおばけがいた!」
声を上げると、みんなは「えっ?」とまわりをきょろきょろ。
おばけはもう、すうっと消えて見えなくなった。
でもぼくは、森の奥で小さなおばけが、
行列が遠ざかるのをひっそりと見送っている気がした。

Illustration & Text (C)tono
編集部
楽しくて怖いハロウィンの夜。果たして本当におばけはいたのでしょうか?
次回は11月下旬公開予定です。公開のお知らせはパイコミックアートのXにてお知らせします。ぜひフォローしてお待ちいただければ幸いです。