【雪の森の帰り道】
森に遊びにいった帰り道、ちらちらと落ちていた雪がだんだん強くなってきた。 足跡は雪で消えていて、音もない、白い世界が広がっている。
気がつくと帰り道がわからない。だんだん寒くなってきた。少し、眠い。
「こんなところで何をしている?」

ふいに声をかけられた。 しんしんと降る雪の中で、緑がかった青いコートを着た白いきつねが立っていた。 コートのなか、あったかそう。
気づいたら、ぼくはそのコートの中にいた。

「こら、入るんじゃない」
入ったら、もう出たくなかった。 きつねはなにかぼやきながら歩き始めた。 ぼくもきつねがつけた足跡の上を歩く。
「ルーカとフィオナの家の子だろう」
「しっぽは触ってくれるな」
「まったく、子供は苦手なのだが…」
つぶやく声が聞こえる。
コートのなかでだんだん、体はぽかぽかとあたたかくなった。
ときおりどさっと雪が落ち、コートから顔を出すと鼻がツンとしみた。
遠くに見覚えのある家の灯りが見える。 あっ、ぼくの家!
走っていって振り返ると、きつねはゆっくりうなずき、森に帰っていった。

Illustration & Text (C)tono
編集部
雪降る森で迷子になったノアですが、白きつねの暖かなコートと優しさに救われましたね。
次回は3月下旬公開予定です。公開のお知らせはパイコミックアートのXにてお知らせします。ぜひフォローしてお待ちいただければ幸いです。