長時間の潜水を経て辿り着いた先には、廃墟と化した地底都市の姿があった。
かつて地底にあったはずの都市は現在、水底まで沈み、果てしなく広がっている。
街はまるで今でも生きているかのように眩しく輝き続けており、その景色は圧巻だった。
しかし、どこか寂しさのようなものも感じさせた。
高度な文明を持っていながらも、理不尽な自然的脅威による災害を防ぐ手立ては無かったようだ。
探索者は手がかりを求め、都市の中心部から発信されている信号源を探し始めた。
「報告──現在船体の状況に問題無し。無事、目的地付近に到着した」
「ああ、こちらにも見えている。まるで都市が生きたまま人だけがいなくなったようだ」
「……きれい。これだけの文明を持ってしても滅んでしまったなんて──。
!! 待って。発送されている信号のデータ形式が解析できた。これは、ビデオメッセージ?」
「開きそうか」
「所々見たことのない数式で暗号化されていて読み取れない。
発信されたデータはあくまでも信号みたい。内容を確かめるには信号源のデバイスを回収しないと」
「直接取りに来いってことか」
「私たちがキャッチした信号は、この星に近づき始めたときに活動を始めた。まるで誰かが見つけるのを待っていたみたいに」
「もしそうだとしたら、いつか訪れる我々のような来訪者に、彼らが遺した最後のメッセージかもしれないな」
NEXT <第6回>4月に更新予定です。