さらに都市の深層に潜った探索者は、
ついに中心部の信号源へと辿り着いた──。
「──信号源を見つけた」
「そこはこの星のあらゆる防衛システムを管理している場所だ。ほとんど機能はしていない。
その信号を外に発信し続けるプログラムを最後に、今は停止しているようだ。
だが油断はするな。侵入者を拒むシステムが発動したらすぐにそこから逃げろ」
「了解。これよりファイルを解析する」
「3──2──1────、解析完了。映像を出す」
「……ホログラム映像か。周りの宇宙空間が映し出されているな」
「データはどうやらこれだけ。この星の衛星が消滅した日に観測した、周囲の映像みたい」
「これは……なんだ? ──隕石か?それとも小惑星?」
「違うな。巨大な<氷>の天体に見える。
天体が星に衝突した時に放出された大量の液体が、どうやらこの星を覆う水の正体みたいだ」
「星に衝突痕しか残らなかったのはコイツが全部溶けたからか。
……にしても、大きさがデタラメすぎるな。
これじゃ溺れはしなくとも、衝撃で星ごと崩れてしまいそうだ」
「私も今までいろんな天体を見てきたが、このサイズで高速で移動するものには遭遇したことがない。
この天体がやってきたルートを算出し、発生源に向かう」
「待て。それは任務に含まれていない。
今回の任務は、この水の発生原因と生命体の有無を調査することだ。
任務外のことをするべきではない」
「君は気にならない?コイツがどこから来ているのか。
それに、発見したものがこれから人類の役に立つかもしれない」
「あんたは自分の探究心を満たしたいだけだろ」
「…………」
「…………今からログをオフにする。
ここから先の記録は上層部に報告しない。
ただし猶予は3日。それ以上は認めない」
「そうこなくちゃ」
NEXT <第7回>5月に更新予定です。