地底都市の文明を滅ぼした<氷>の天体。
その発生源を突き止めるべく、探索者たちは痕跡を頼りに天体の行方を追う。
辿り着いたその場所には、未だかつて観測したことのない──別の宇宙が広がっていた。
「空間に裂け目が……。どうなっている?」
「──観測中だが、宇宙空間に漂う物質がこちら側のものと全然違う。
ここから先はまったく未知の宇宙であり、我々の常識が通用しない宇宙だ」
「言葉では理解できるがまったく実感できないな……自分たちが住んでいる宇宙とは違う宇宙が存在するなんて──」
「私の言う通りついてきて正解だっただろう?」
「……。それにしても、ここら一帯で計測できる熱エネルギーは膨大だ。
これ以上進んだら機体が持ちそうにない。空間に座標を設定して一度引き返そう。
今のままじゃ準備不足だ」
「今度来た時にこの裂け目が開いている保証はないよ。私は戻らない。
それに、さっきからあの馬鹿でかい星の引力に機体が引きずり込まれそうになってる。
引き返そうにも引き返せない」
「……どうやら、そうみたいだな。
機内の供給エネルギーをすべてエンジンに集中。逆噴射させて脱出できるか試してみる。
3──2──1────、点火」
「…………? どうした。操作に不具合でも?」
「……いや、まったくの無反応。実行しているがビクともしない」
「──仕方ない。ここで無駄に燃料を使い切るよりも、あの惑星に一度着陸してから脱出を試みたほうが良さそうだ」
「了解。これより進路を変更し、惑星の大気圏へ突入する」
NEXT <第8回>6月に更新予定です。